勝ち逃げ社会

他の人だけが得をするのは耐えられない。

自分だけは損をしたくない。

むしろ、他の人の損を望み、自分だけが得している状況に身を置いていたい。

自分だけが笑っていたい。

 

これが今の社会の底でうねっている、多くの人たちの気持ちではないだろうか。

 

だから、自己啓発本をむさぼり読む。

だから、AIに仕事を奪われるんじゃないかと恐れる。

だから、投資の本を読んで投資をする。

 

他が笑って自分だけがババをひいている状態になりたくないという

焦り

そねみ

妬み

 

ある意味、それが燃料となって燃えて前進している社会。

ズルズルと下がっていく経済や少子化による年金システムの破綻の不安が浸透していく社会。

不安を煽ることで成立している社会。

そんな気持ちにつけこむようなキーワードが散りばめられた本が売れていく。

 

自分をアップデートすれば良い。

複数のスキルを持てば良い。

メインの仕事以外に副業を持てば安心。

人生100歳時代が来るので、一生現役で働けば良い。

プライベートと仕事を分ける必要なんてない。

休みなんていらない。

こうすれば「勝てる」。

お金に稼いでもらう。

 

だけど、そもそもそんな勝ち逃げ社会を成立させている「競争」から降りる発想はないのだろうか?

 

ある。

実は昔から存在する。

 

ひとつは仏教や禅。

悟りを開いて涅槃の境地に達すれば、そこは三昧の世界。

瞑想し、内省し、宇宙レベルに意識を上げていけば到達する世界。

この上なく気持ちいいという。

 

ひとつは反物質主義のヒッピー文化。

コミュニティの大切さや経済の競争の無益さを説くLove&Peace。

自給自足やバックミンスター・フラー宇宙船地球号の思想もある。

 

ひとつは経済社会の中に身を置きながらも、生活をミニマルにしていくミニマリズム

自給自足やDIYでかかるお金はどんどん少なくなり、モノに意識が持っていかれることもない。研ぎ澄まされる意識で問題が即座に解決する。

 

年末年始で読んだ本たちはそんな類のものだった。

 

 

自給自足

DIY

少欲知足

 

このテーマには周期的に魅了される。

もう10年以上も行きつ戻りつしてきている。

現実世界の中で競争を煽るものに囲まれたり、プレッシャーをかけられると、自分の意識の原点を磨き上げるように、座標を確認するように本を読む。

読む度にくだらないゲームからは降りろと囁かれる。